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Webサイト制作やデジタルマーケティングのブログ

社内に「なんでも屋WEB担当」がいる会社で起きがちなこと

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中小企業・ブランドのデジタル運用を疲弊させる構造と、その抜け出し方

社内でいちばんWEBに詳しそうだから、とりあえずあの人に任せる。
そんなふうにして生まれた「なんでも屋WEB担当」が、気づかないうちに会社と本人を疲弊させていることがあります。

「WEBっぽいことは全部◯◯さんで」から始まる

中小企業やブランドの現場では、「WEBのこと、◯◯さんが一番詳しそうだからお願いしておいて」という流れから、ひとりの「なんでも屋WEB担当」が誕生するケースが少なくありません。きっかけは、前職で少しECを触っていたとか、自分の趣味でSNSをよく使っているとか、その程度のことだったりします。

それでも一度「詳しそうな人」だと認識されると、コーポレートサイトの更新、ECサイトの商品登録、キャンペーンバナーの差し替え、SNSの投稿、広告アカウントのチェック、GA4やサーチコンソールのレポート作成まで、オンラインで起きるほとんどのことが、その人の机の上に積み上がっていきます。

本人も「やったほうがいい」「放置するのはよくない」と分かっているので、なかなか断れません。こうして、少しずつ業務が増えていきます。

ある「なんでも屋WEB担当」の1週間

典型的な1週間を、少しストーリーとして描いてみます。思い当たるところがあれば、自社の状況と重ねて読んでみてください。

月曜日:更新依頼の山からスタート

週の始まりは、社内からの更新依頼の確認から始まります。
営業部門からは「今週中にこの資料をサイトに載せてほしい」、採用担当からは「募集要項を1件追加したい」、経営者からは「トップのメインビジュアル、そろそろ変えようか」という声がかかります。

ToDoリストはどんどん増えていきますが、「今週、WEBで何を達成したいのか」は誰も口にしません。 目の前のタスクだけが積み上がっていきます。

火曜日:ECとSNSで一日が終わる

ECサイトの商品情報を更新し、シーズンキャンペーンのバナーを差し替え、SNSの投稿を整えていくだけで、あっという間に夕方です。
「数字を見て、次の打ち手を考える」ための時間はなかなか捻出できません。

水曜日:制作会社・代理店との打ち合わせデー

制作会社から送られてきたデザイン案の確認や、広告代理店との定例ミーティングもWEB担当の仕事です。
レポート資料は充実しているものの、経営者からは「結局、これは良いの?悪いの?」と聞かれ、 社内の他部署からも「うちの案件にはどう影響するの?」と質問が飛んできます。

気づけば、社外と社内のあいだで「翻訳」をし続ける一日になってしまうことも少なくありません。

木曜日:数字を見るけれど、眺めて終わる

GA4で先月のアクセス状況を確認し、メール配信ツールの開封率やクリック率、広告のCV数やCPAもチェックします。ただ、気になる数字はいくつもあるものの、それをどんなアクションに変えるべきかを考える時間が足りません。AIにも適切な質問ができてるのか疑問です。

「悪くはなさそうだけど、もっと良くできる気もする」という曖昧な感覚だけが残り、 結局、来月も同じようなレポートを作ることになります。

金曜日:また更新依頼で一週間が閉じる

週の終わりには、ふたたび社内からの更新依頼が届きます。「このPDFを差し替えておいてほしい」「このお知らせ、今日中に公開できる?」といった依頼に対応しているうちに一日が終わります。

振り返れば、確かに多くのことをこなしました。
それでも、「この一週間で事業として何が一歩前に進んだのか?」と問われると、はっきり答えづらい。これが「なんでも屋WEB担当」の抱えがちなモヤモヤです。

なぜ「なんでも屋」構造が生まれてしまうのでしょうか

この構造は、担当者個人のスキルや努力だけの問題ではなく、会社側の前提から自然に生まれがちです。

専任チームを置けない規模感

多くの中小企業やブランドは、マーケティング専任チームを複数人で組めるほどの余裕がありません。
営業や総務が別の業務と兼務しながら、WEBもECもSNSも見ることになります。
結果として、「あの人が一番詳しそうだから」と、オンラインに関する仕事が一人に集まりやすくなります。

経営者自身も“デジタル全体”を把握しづらい

経営者の立場から見ると、サイト制作、SEO、広告、SNS、メール配信など、どれも「オンラインでやること」に見えます。しかしそれぞれに前提や専門性が異なるため、細部まで把握して判断するのは簡単ではありません。その結果、「詳しそうな人にまとめて任せる」という構図が生まれます。

頼みやすい人に、仕事が集まってしまう

NOと言いづらく、頼まれたことは何とかしてくれるタイプの人ほど、自然と業務が集中しがちです。「自分がやったほうが早い」と感じてしまうこともあり、気づいたときには、仕事の中身と量が釣り合わなくなっていることも少なくありません。

「なんでも屋WEB担当」が抱えがちな4つの問題

優先順位が決まらないまま、作業だけが増える

本来であれば、事業の目標を踏まえて「今年はここに集中しよう」という方針を決めたうえで、施策の優先順位を整理していく必要があります。ところが、現実には「頼まれた順」にタスクをこなすことが多く、インパクトの大きい仕事ほど後回しになりがちです。

数字は出しているのに、「判断」につながらない

月次レポートを作り、会議で共有している会社は少なくありません。それでも、「で、何を変えるべきか」という話にならず、報告だけして終わってしまう場面もよく見かけます。

数字を見ている人と、数字をもとに決める人が別々になっていると、このギャップはいつまでたっても埋まりません。

制作会社・代理店との“翻訳係”になってしまう

外部パートナーとのやりとりも、WEB担当に集まりがちです。代理店から届く横文字の多い提案資料を噛み砕き、社内向けに説明し直す役割まで背負うことになります。

「自分はこの施策の優先度を本当に理解できているのか」という不安を抱えながら、調整役に徹し続けるのは、大きな負担です。

貢献していても、評価されにくい

何か成果が出ても「たまたま広告が当たっただけ」と見られやすく、トラブルが起きると「WEB担当がちゃんと見ていなかった」と言われてしまう。そんな声も、現場からよく聞きます。

本来は、社内に一人でも「デジタルに明るい人」がいることは大きな資産です。しかし、構造の問題によって、その価値が十分に活かされていないケースが多いと感じます。

AI時代の「なんでも屋WEB担当」が抱えがちな新しい悩み

ここ数年で、ChatGPT をはじめとした生成AIを日常的に使うWEB担当者も一気に増えました。
テキスト作成や要約、アイデア出し、コード修正など、これまで時間がかかっていた作業がかなり楽になっているはずです。

ただ、その一方で、AIがあることで別の問題も生まれています。

「AIがあるんだからできるよね?」と言われやすくなる

社内でAIを使いこなしている人は、それだけで「何でもサクッとこなせる人」に見られます。その結果、「AIで一瞬でしょ?」「文章はAIに書かせればいいからさ」といった期待が積み上がり、かえって依頼の量が増えてしまうことがあります。

本人としては、AIを使って作業を効率化しているのに、 気づけば「空いた時間」に新しいタスクがどんどん詰め込まれていく。 そんな、終わりの見えない状態になりがちです。

「AIに聞けばいい」は、判断の負担を軽くしてくれない

AIは、案やドラフトを出すのは得意ですが、「この会社にとって、どの案が正解に近いか」を決めるのは、やはり人の仕事です。

・どのチャネルにどれくらい投資するか
・どのターゲットに絞るのか
・ブランドとして、どの表現は使わないのか

こういった判断は、AIの提案を参考にしつつも、最終的には経営者とWEB担当が一緒に決めていく必要があります。AIが増やしてくれるのは「選択肢」であって、「決定」ではありません。

AIを「なんでも屋を加速する道具」にしないために

AIをうまく使うかどうかの分かれ目は、「どこまでをAIに任せて、どこからを自分の判断にするか」を決めておくことです。

たとえば、次のような線引きが考えられます。

– テキストの叩き台づくりや文章の整えはAIに任せる
– ただし、最終的な表現の決定と、どの施策をやるかの判断は人が行う
– レポートの要約はAIに任せるが、「来月なにを変すか」は必ずMTGの場で話す

AIは「なんでも屋WEB担当をさらに忙しくする道具」にもなり得ますが、うまく線を引けば、「判断するための余白を取り戻すツール」にもなります。

担当者ひとりに仕事が集まりすぎないための視点

いきなり組織図を変えることは難しくても、今日からできる小さな見直しはあります。

まずは「やっていることの棚卸し」から

担当者が日々こなしている仕事を、一度すべて書き出してみます。サイト更新、EC運用、SNS・メール、広告、レポート作成など、思いつく限り並べてみてください。

そのうえで、「社内でないとできない仕事」「外部に任せられそうな仕事」「やめてもよさそうな仕事」を大まかに分けていきます。それだけでも、どこに負荷が集中しているかが見えやすくなります。

「考える仕事」と「作業の仕事」を分けてみる

タスクを、戦略・設計・優先順位を決めるような「考える仕事」と、原稿作成や画像加工、設定作業などの「作業の仕事」に分けて考えてみるのも有効です。

すべてを一人で抱えるのではなく、作業の一部を外注したり、 逆に「考える部分」を外部のパートナーと一緒に行ったりすることで、担当者の時間の使い方を変えていくことができます。

外部パートナーの役割をあらためて定義する

制作会社や代理店に対しても、「何をお願いしたいのか」を見直してみます。作って終わりの制作だけでなく、公開後の数字や運用まで一緒に見てくれるのか。レポートだけでなく、「やめること・続けること」の相談相手になってくれるのか。

「なんでも屋WEB担当のもう一人の相棒」になってくれる外部パートナーがいれば、 社内の負荷も、デジタル投資の成果も、大きく変わってきます。

おわりに:デジタル担当者を「潰さない」ために

社内に一人でも、WEBやデジタルに詳しい人がいることは、本来は大きな強みです。その人が、更新依頼とレポート作成だけで毎日を終えるのか、事業の成長を支える「デジタル側の右腕」になるのかは、役割の設計と外部との付き合い方で大きく変わります。

「うちにも、なんでも屋WEB担当っぽい人がいるかもしれない」と感じたら、まずは現状を棚卸しし、どこから負荷を減らしていけるかを考えてみてください。 そこからが、本当の意味での「運用」を始めるスタートラインになるはずです。

※Better Standardでは、こうした棚卸しや優先順位づけ、公開後の運用・改善を、「外部のデジタル担当」という立ち位置で並走する形のサポートも行っています。
詳細は Webサイト・SNS運用サポートのページをご覧ください。

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