SNSは流れる。WEBサイトは残る。AIで「それっぽいページ」が増えたいま、どこに手をかけるか
- Published: 2026-10-05
- Updated: 2026-10-05
Daisuke Suzuki
AIで作ったWEBページを見て、なぜだか一瞬で「あー、これ系だ」と感じた経験はないでしょうか。好きとか嫌いとかの「好み」の問題にも聞こえます。ただ、制作や運用に少しでも関わったことがある人ほど、余白の取り方や見出しのリズム、細部の揃い方に引っかかりを覚えやすい、という面もありそうです。
AIを使うな、という話ではありません。自分もよく使っています。AIを利用する良い・悪いを決めつけたいわけでもなく、AI使わないという判断もないでしょう。ただ、事業の顔として長く残る場所として見たとき、WEBサイトのどこに手をかけるか。AIがファイルをまるっと生成してくれて、それなりの見え方を提供してくれます。で、それでいいのか、そこを少し考えてみます。
「とりあえず形になった」で、公開していないか
AIの制作物は、どれだけやり取りを重ねて詰めたかで結構変わります。一発で出したものと、何度も指示を出して直したものでは、見た目も中身もかなり違う。使いこなしている人の成果物は、実際かなりの水準です。ネットでは一発で出たとのことで、それなりの水準だと感じている人も多いですが、よく見るとそうでもないところがあります。自分もそうです。そうでもないところを見つけると、「もうちょっと」と思うことが多いです。
一方で、よく見かけるのは「とりあえず形になったし、細かいところはあとで直そう」の段階で公開されているサイトです。グラデーションの背景、角丸のカードが3つ並んだ特徴紹介、「〜を、もっと身近に。」といったキャッチコピー。業種が違っても、似たレイアウトと似た言い回しが並びやすくなります。素早く公開できるメリットはありますが、そのあとの直しや更新が手間になります。また、そこに再度向き合う優先度は下がります。
結果として、既製のテンプレートを使ったサイトより、かえって弱く、しょぼく、見えることもあります。そして訪問するユーザーの集中力を奪い、その結果伝わらない。テンプレートには、少なくとも「型」と、それなりに整ったバランスがあります。型もブランドの軸もないまま、それっぽさだけが先に立つと、残るのはどこかで見たような均一さです。個性の揺れがない。それでもいいシチュエーションはたくさんあります。ただ、AIが作ったと聞いて見る気が後退するって感じたことないでしょうか。
見た瞬間の「あー」は、好みだけの話?
違和感の正体を言葉にするのは、なかなか難しいです。余白、フォントの組み合わせ、ボタンの置き方、色の選択、写真の補正、写真と文章の関係。ひとつひとつは小さな差で、その積み重ねです。感じ方は人それぞれなので、「いけてない」と切り捨てる必要はないと思います。そして、違和感の言葉を持っている人は、PhotoshopやFigmaなどのデザインツールを使えない人でも、デザイン制作物に対しての理解、つまりデザインのことを考える力が深い方、解像度が高い方なんではないでしょうか。実はそれを補うスキルファイルやアセットもネットにはたくさんあります。が不十分です。
ブランドという視点で見ると、少し話が変わります。ブランドというと大げさですが、ロゴや広告の話ではなく、訪問者が最初に抱く「この商品よさそうか」「このサービス使っていいか」という印象のことです。WEBサイトは、その印象をかなり早い段階で決めてしまう場所でもあります。自戒も込めつつなんですけど。
SNSは流れる。サイトは残る
SNSの投稿は、タイムラインとともにどんどん流れていきます。多少気になる点があっても、次の投稿で上書きされる。一方でWEBサイトは、名刺を渡したあとも、社名で検索されたときも、同じ顔でずっとそこにあります。厄介です。
だから、「見た目はまあいいか」の影響が、サイトでは長く残ります。商品選択の比較検討で見られるのも、たいていはサイトのほう。細かいディテールが、意外と効いてくる場所です。
公開後6ヶ月で見直すチェックリストでも触れていますが、公開からしばらく経ったら、動作や計測だけでなく「このサイトは、今の事業の顔としてまだ合っているか」を落ち着いて見るタイミングがあります。AIで一気に作った場合ほど、その見直しは早めのほうが安心かもしれません。
大きな会社は、なぜ全部AI一発で済ませないのか
「安く速く作れれば、見た目はそれなりでもいい」が正解なら、大きな会社もとっくにそうしているはずです。ただ、自動車メーカーや食品メーカーの公式サイトを思い浮かべてみても、テンプレートやAIの生成物をそのまま載せている例は、少なくとも主流ではありません。
おそらく、接点そのものがブランドの一部だからです。製品やサービスの中身と、それを紹介するページの質が大きくずれていると、見た目の問題では済まず、信頼の問題になってしまう。だから「事業の顔になるページ」には、時間と人の目をかけています。デザインへのこだわりというより、投資の判断としてそうしているのだと思われます。
中小企業や個人事業で、全部を同じようにする必要はありません。ただ、長く残る一部のページだけは、AIの一発生成のまま置いておかない。そういう線引きなら、現実的に考えやすいのではないでしょうか。
全部は無理。なら、どこから手をかける?
優先したいのは、訪問者が「どう感じる」を判断するときに見るページです。ユーザーの印象をどのように残せるのか、それを作るためにはどこまで手をかけるか。
- トップページ:最初の数秒で「ちゃんとしていそうか」が決まる
- サービス紹介:何をしている会社か、他社と何が違うかが伝わるか
- 会社概要・実績:「誰がやっているのか」が見えるか
- お問い合わせ周辺:フォームの前後で、不安や迷いが残っていないか
あわせて、公開前に次のようなことを決めておくと、あとで困りにくくなります。
- 公開前に、一度は人の目でチェックするか
- 公開後に、誰が・何を・どうやって直すのか
- WordPressなどのCMSやテンプレートに載せ替えて、更新しやすくしておくか
AIは、試作や下書き、スピードが求められる場面ではかなり頼りになります。使う・使わないではなく、どのページを、どこまで人の手で仕上げるか。そこを先に決めておくだけでも、サイトの残り方はずいぶん変わってきます。
当社では、WEBサイトのリニューアルから、公開後の運用、日々の相談まで、社内に専任のWEB担当がいない事業者様のご相談を承っています。「AIで作って公開したサイト、このままでいいか一度見てほしい」といった、現状の確認だけでも構いません。お気軽にご相談ください。
- Published: 2026-10-05
- Updated: 2026-10-05
better standard editor