ブランディングは「言語化」から。会社の想いをWEBサイトの言葉にする方法
- Published: 2026-10-16
- Updated: 2026-10-16
Daisuke Suzuki
見た目はAIでも作れる。だから、ブランディングは「言葉」から組み立てる
WEBサイトをリニューアルしようと思ったとき、最初に何から手をつけるでしょうか。参考になりそうなサイトを集めたり、色や雰囲気のイメージを固めたり。見た目から入るケースがほとんどだと思います。
ただ、いまはAIを使えば、それなりに整ったデザインは誰でもすぐに作れます。見た目だけなら、差はつきにくくなりました。それでもWEBサイトを手間をかけて作る理由があるとすれば、一番大きいのはブランディングだと思います。そして、その土台になるのは、デザインも大事ですが、それより先に「言葉」が大切だと考えます。
ブランディングというと大げさですが
ブランディングというと、ロゴや色を統一して、認知を広げる取り組みをイメージするかもしれません。もちろんそれも大事です。ただ、本質はもう少し手前にあります。
この会社は、何のためにこの仕事をしているのか。誰の、どんな困りごとに向き合っているのか。他と何が違うのか。そうした事業の志や背景を、お客様や、これからお客様になる人に伝わる形にすることです。大企業や高級ブランドだけの話ではなく、小さな商店でも、士業でも、病院でも同じです。
そして、その「伝わる形」の大部分は、実は言葉でできています。トップのキャッチコピー、サービス紹介の見出し、会社概要の一文、採用ページの募集文。デザインは、その言葉を届けるための器、と考えることもできます。
「伝えたいことはあるけど、言葉になっていない」
制作の打ち合わせでよくあるのが、話を聞くととても面白いのに、それがどこにも書かれていない、という状態です。
- 創業のきっかけを聞くと、すごくいい話が出てくる
- お客様から言われてうれしかった一言を、社長がはっきり覚えている
- 「うちはこういう仕事はやらない」という線引きが、社内では共有されている
それなのに、サイトに載っているのは「お客様第一」「高品質なサービス」「地域密着」。どこの会社にも当てはまる言葉です。本人たちの頭の中にはストーリーがあるのに、テキストになっていない。結果として、サイトを見た人には何も残らない、ということが起こりがちです。
採用でも、サービスでも、効くのは同じ言葉
言葉が効くのは、お客様向けのページだけではありません。採用ページを例にすると、分かりやすいかもしれません。
「アットホームな職場です」「やる気のある方歓迎」。よく見る募集文ですが、読んだ人が具体的に思い浮かべられることは、ほとんどありません。一方で、「お客様に『前の業者さんより話が早い』と言われることが多い会社です」と書いてあれば、どんな仕事の仕方をしているのか、少し見えてきます。
サービスの紹介も同じです。何を大事にしていて、何をしないのか。それが言葉になっていると、合うお客様は「ここなら話が通じそう」と感じ、合わないお客様は自然と離れていきます。採用もサービスも、元になるストーリーは一つで、そこから相手に合わせて言葉を切り出していく、という順番が組み立てやすいです。
言葉がある会社は、AIもうまく使える
AIで文章も作れるのだから、コピーもAIに任せればいい。そう思われるかもしれません。実際、言い回しを整えたり、案をたくさん出したりするのは、AIはかなり得意です。
ただ、元になる材料がなければ、出てくるのはやはり「どこかで見たような言葉」です。創業の経緯、お客様の一言、やらないと決めていること。こうした材料は、その会社の中にしかありません。逆に言えば、ストーリーがテキストになっている会社ほど、AIから出てくるものの質も上がります。デザインも、記事も、SNSの投稿も、同じ材料から作れるようになります。
考えてみると、言葉が生まれる過程は、AIの学習に少し似ています。たくさんの情報を取り込んだうえで、その中から言葉が紡ぎ出される。企画会議でポストイットに思いついたことをとにかく書き出し、壁に並べて眺めているうちに、一つの言葉にまとまっていく。あれも同じような作業です。
ただ、多くの会社では、その元になる情報が資料としてはほとんど残っていません。大半は、社長やスタッフの頭の中にある思いや経験です。なので、まず必要なのは、それを外に出してもらう作業になります。話してもらう、書き出してもらう。量が多いほど、そこから出てくる言葉の精度も上がっていきます。
ストーリーをテキストにする、最初の一歩
いきなりキャッチコピーを考える必要はありません。まずは、次のような問いに、思いつくまま書き出してみるところから始められます。
- この仕事を始めた、または続けている理由は何か
- お客様から言われて、印象に残っている言葉はあるか
- 同業他社と比べられたとき、何が違うと言われるか
- 頼まれても断っている仕事、やらないと決めていることは何か
- 社内でよく使う口ぐせや、言い回しはあるか
一人で書き出すのが難しければ、誰かに質問してもらいながら話すほうが、結構出てきます。書き出したものは、きれいな文章でなくて構いません。そこから、長めのストーリー、ブランドプロミス(お客様への約束)、短いタグライン、と段階的に絞っていきます。ブランドプロミスやタグラインについては、企業のブランドプロミスとタグラインをチェックしてみた記事で、実際の企業の例を紹介しています。
言葉の材料がそろってから、ページの構成やデザインに入る。順番を変えるだけでも、できあがるサイトの印象はかなり変わります。WEBサイトがブランディングで担う役割については、ブランドサイト制作のページでも詳しく書いています。
当社では、こうした言葉の整理から、WEBサイトのリニューアル、公開後の運用まで一緒に進めています。「話すことはあるけど、まとまっていない」という段階でも構いません。打ち合わせで話を聞きながら、テキストにするところからお手伝いします。お気軽にご相談ください。
- Published: 2026-10-16
- Updated: 2026-10-16
Daisuke Suzuki