ブランドEC運用改善|Amazonと公式オンラインストアのチャネル再設計
- Published: 2025-12-02
- Updated: 2025-12-02
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Amazon売上が安定しているブランドこそ陥る「公式ECの停滞」。
Shopify移行 × 計測基盤の適正化で、ROASが見える「攻めの拠点」へ。
1. 背景と課題:古いシステムが「攻め」と「守り」の足を引っ張る
自社で企画・製造したプロダクトを販売するD2Cブランド様の事例です。売上の軸はAmazonや楽天にあり、検索や口コミによって安定していました。一方で、長年運用してきた公式ECサイト(旧EC-CUBE)は更新頻度も低く、ブランドの成長に対して「ボトルネック」になり始めていました。
直面していた3つの壁
当時の課題は、単に「デザインが古い」だけではありませんでした。
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施策が打てない「重たい」システム
スマホでのUIが見劣りするだけでなく、少しLPを修正するのにもコード編集が必要。「やりたい施策をすぐに試せない」ことが日常的なストレスでした。
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広告成果が見えずらい「不透明な」ROAS
iOSやブラウザのCookie規制により、広告管理画面上の数値と、実際の売上に乖離が発生。「本当は売れているのに、数字が悪く見えるから広告を止めてしまう」という機会損失のリスクを抱えていました。
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利益を圧迫する守り」のコスト
「海外からの不正注文やチャージバック対応に、担当者の工数が奪われていました。売上とは無関係な「防御コスト」が増え続けている状態でした。
2. アプローチ:制作の前に「チャネルの役割」を定義する
私たちは、いきなりサイト制作に入ることはしません。まず行ったのは、ブランドオーナー様との「Amazonや楽天などのモールと公式EC、それぞれの役割」の言語化です。
「売る場所」から「関係を育てる場所」へ
Amazonは集客力・配送力に優れた「最強の売り場」ですが、顧客データの蓄積やブランド教育には向きません。また近年、配送料や手数料も値上がり傾向もあります。そこで、以下のように役割を明確に切り分けました。楽天とアマゾンではセラーの販売手法がことなるので、ここではAmazonにフォーカスします。

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Amazonの役割:
ブランド名・商品名で検索したユーザーの確実な受け皿、レビューによる信頼獲得と、新規顧客との接点。
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公式EC(Shopify)の役割:
ブランドの世界観とストーリーを深く伝える「ホーム」、セット商品・ギフト・定期購入などLTVを高める提案、そして広告・SNS施策のデータを蓄積する「実験基地」。
この整理により、「Amazonがあるから公式ECは不要」ではなく、「Amazonを活かすためにこそ、公式ECを『マーケティング拠点』に変える」という方針が固まりました。
3. 実装と解決策:「マーケティング前提」のEC基盤をつくる
リニューアルのプラットフォームには、拡張性と連携力に優れた Shopifyを選定。単なる引っ越しではなく、「運用とデータ」に主眼を置いた実装を行いました。
iOS時代に対応した「正しい計測環境」の構築
最大の課題であった「広告効果の見えづらさ」に対しては、GA4とMeta(Facebook/Instagram)広告の連携を根本から見直しました。

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Meta CAPI(コンバージョンAPI)の導入:
ブラウザ(Cookie)だけに頼らず、サーバー側から直接イベントデータを送信。これにより、SafariやiOSユーザーのコンバージョン計測漏れを防ぎ、広告媒体に「正しい成果」をフィードバックできる状態にしました。
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「実態に近いROAS」の可視化:
タグの実装をShopifyアプリによる公式連携に一本化。属人的なコード記述を排除し、誰もが同じ数字を見て判断できる環境を整えました。
「地味な手作業」をゼロにする自動化(Shopify Flow)
「顧客対応やタグ付けに時間を取られたくない」という課題には、Shopifyの自動化機能(Shopify Flow)で応えました。

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マーケティングタグの自動整理:
「ギフト商品を買った人」「キャンペーン対象者」などを自動でタグ付けし、次回のメルマガや広告配信に即座に活用できる状態にしました。
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カゴ落ち / 閲覧リマインド:
購入に至らなかったユーザーへのフォローアップを自動化し、機会損失を最小限に抑える仕組みを組み込みました。
4. 成果と今後:10年使える「動かせる土台」へ
数字で見える「安心」と「攻め」の姿勢
リニューアルによる最大の成果は、データに基づいた「次の打ち手」を、自信を持って迅速に選択できる状態になったことです。具体的には以下の3点の変化が生まれています。システムとクリエイティブの両輪が整ったことで、具体的には以下の3点の変化が生まれています。
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ROAS判断の精度向上:
「なんとなく」ではなく、信頼できる数字を元に広告運用ができるようになりました。「このクリエイティブは実は効いている」という判断がクリアになり、無駄な停止や機会損失が減少しました。
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不正コストの大幅削減:
Shopifyの堅牢な決済基盤により、不正注文やそれに対応する社内工数が激減。「守り」に使っていた時間を、「攻め」の企画に使えるようになりました。
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社内での運用スピード向上:
ノーコードでキャンペーンページや特集が組めるようになり、「来週、このセットを売り出したい」というアイデアを、社内だけで即座に実行に移せるようになりました。
さいごに
「古いECのまま広告費を増やしても、穴の空いたバケツに水を注ぐようなもの」です。Better Standardでは、見た目のリニューアルだけでなく、「計測・運用・チャネル戦略」という目に見えない土台を整えることで、ブランドが今後10年戦える基盤づくりを支援します。
「Amazonとのバランスに悩んでいる」「広告のROASが信用できない」。もしそのような課題をお持ちであれば、まずは現状の診断からご相談ください。
- Published: 2025-12-02
- Updated: 2025-12-02
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